日本経済は、長く続いたデフレ経済からの脱却に向けて着実に前進しています。 景気については緩やかな回復基調が続き、 賃上げ率は過去15年で最高水準を記録するなど、経済の好循環が生まれはじめました。 この好循環を拡大するためにも、アベノミクス第3の矢「成長戦略」を推進していく必要があります。
今後の持続的な成長のためには、女性や高齢者をはじめ、日本人一人一人が持てる力を最大限発揮できる環境の整備はもちろんのこと 日本の誇る技術力を背景に高い付加価値と多くの雇用を生み出すハイテク産業の発展、そこから生み出される製品の幅広い分野での活用に大きな期待がかけられております。 その実現を支える最も重要な技術が、電子デバイスをはじめとするIT,エレクトロニクス技術です。
例えば、近年のロボット技術の発展は目覚ましく、従来のものづくり現場における活用のみならず、 介護、宿泊施設、農業、防災など多種多様な分野において、これまで人手に頼っていた作業にロボットを活用することで、生産性やサービスレベルの向上を図ることが可能になってきています。 これは、高度なロボット制御に必要な多様な情報の把握、分析、通信などなどのIT、エレクトロニクス技術の進歩の賜物に他なりません。
これらの技術の進歩が、自動運転、インフラの維持、・管理、ヘルスケアなどの成長市場において活用され、社会が必要とするサービス、システムが実現されるためにじは、企業や省庁の壁を越えてオールジャパンの叡智を結集しなければなりません。
当省としても、こうした観点から優れた研究開発成果を事業化、産業化に結びつける取り組みを進めて参ります。
先般、名城大学教授 名古屋大学特別教授 赤崎勇氏、名古屋大学教授 天野浩氏、カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授 中村修二氏がノーベル物理学賞を受賞されました。三氏の御業績に心から敬意を表するとともに、我が国の学術研究の水準の高さと人材こそが日本が世界に誇る最大の資源であることが改めて国内外に示されたことを日本人の一人として誇りに思います。
こうした学術研究や人材の質の高さを背景として発展をとげてきた我が国のデバイス産業は、低消費電力性や高信頼性といった「強み」を持っています。 今後のIoTの動きが加速する中、こうした「強み」を活かして、ヘルスケアなど様々な分野の異業種のセットメーカーやサービス事業者などとの連携を進め、新たな市場を開拓することがますます不可欠になってくるものと考えております。
このため、経済産業省としては、川上から川下まで様々な事業者が連携して、革新的デバイスの新しい用途を開拓し、新市場の創出を目指して新しいビジネスモデルを作るためのルール策定を行う「クリーンデバイス多用途実装戦略事業」について、平成27年度予算案では金額を倍増して予算を計上しております。
さらに、IoTの進展等を踏まえ これに対応したIT政策のあり方を検討するため、昨年12月がら産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会において 審議を開始しました。
IoTについては、電子デバイスが重要な役割を果たすことになり 新たなビジネスチャンスが生まれてくるものと考えられます。 今後鋭意検討を進め、今年度を目途に改訂する「成長戦略」に必要な施策を盛り込みたいと考えております。
(一社)日本電子デバイス産業協会(NEDIA)におかれては、これまでの電子デバイス産業と異業種との連携の促進等を通じ電子デバイスをはじめとした幅広い産業の総合的発展にこられました。 上述のとおり、こうした取り組みの重要性はますます高まっており、今後とも 日本の電子デバイス産業が誇る優れた技術をもとに 成長産業との連携を図る活動を通じて新たなビジネスを創出し、幅広い産業の発展に大きく貢献する戦略的な組織としてご活躍されることを期待しています。
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