案内記事>> 出典:NEDIA通信No.03
■東北 NEDIA キックオフ・セミナー/懇親会を開催
2013 年 12 月 11 日(水)に東北大学片平北門会館エスパスにおいて東北NEDIA キックオフ・ セミナーを開催しました。会館の前に積もった落ち葉を生協の従業員の方が清掃している初冬の風景のなか、102 名の多数の方に参加いただきました。
最初に東北NEDIA 代表の川添良幸氏(東北大学未来科学技術共同研究センター名誉教授)から、東北での会員拡大について注力して行くという開会挨拶があり、セミナーを開始しました。
■最初のご講演は、「汚染やダメージをいっさい与えない超高生産性製造技術による半導体デバイス製造」と題し、NEDIA 副会長の大見忠弘氏(東北大学未来科学技術共同研究センターシニアリサーチフェロー)にご登壇いただきました。
講演の内容は、Si(100)界面でゲート絶縁膜の薄膜化とデバイス寸法の微細化
だけで性能向上を遂げてきたシリコン LSI の性能向上が完全に停滞している状況の中で、ラジカル酸化・窒化ほかの新技術により行き詰まりを克服する学問に基いた本物のシリコン技術を示していただきました。
実際に、ラジカル反応ベースの新半導体製造技術を用いて、(551)面のSOI ウエハ上にバランスドCMOSを作製し、45nm世代で 100GHzクロ ックを超える超高速シリコン LSI が実現できることを示されました。
この超高性能バランスド CMOS によりアナログ・高周波・デジタル混載超高速システ ム LSI が実現可能で、これを本物の産業にするために、回路設計の超短時間化、LSI 製造の超短時間化、フォトマスク製造の超短時間化と超低価格化が必要であり、その具体的な実現手段についてご説明いただきました。
また、金属表面波励起プラズマ装置、ダメージフリー2段階 エッチング装置、回転マグネッ トスパッタ装置など、汚染やダメージをいっさい与えないという難しい命題も解決する超高性能・超高生産性製造装置システムの具体的な内容を示していただきました。
今後半導体がまだまだ発展して行くという実感を与えていただいたご講演でした。
■つづいて、「デンソーの技術開発とカーエレクトロニクス」と題し、窪小谷良一氏(㈱デンソー 岩手取締役社長)にご講演いただきました。
まず、現在の自動車社会におけるガソリン直噴、コモンレールシステム、アイドルストップシステム等のダントツの燃費の追求、安心・安全のクルマ社会、交通事故の原因で最も多い発見 遅れの支援などで「いつもの安 全、もしもの安全」を目指すという重要テーマについてお話しいただきました。
主題のカーエレクトロニクス については,自動車への搭載率が 1980 年の 1%が 2005 年に22%、2011年には 40%と大きく伸びており、また半導体・電子部品の搭載比率は一般乗用車18%、高級乗用車 30%、ハイブリッド乗用車 48%と高い数値になっている点を示されました。 このため、2004 年から 2012 年で車の生産が 3 割増に対し車載半導体は倍増のペースとなっているとのご説明がありました。
デンソー殿では、センサ→マイコン→アクチュエータの全体最適化を進めるとともにコンカレントな開発体制で短期開発を行いお客様のご要求に素早く対応するというデンソー基本理念・スピリットで進められているとのことです。 デンソー殿ではステレオ画像処理、走行支援 ECU、リモートセキュリティ制御 ECU などで世界初の開発実績を出されています。 デンソー 岩手殿はデンソーのエレクトロニクス展開の拠点として 2012 年 10 月に操業開始され、地震対応にも注力されています。
最後に、今後の CO2 増の抑制で地球を破綻することなく 80 億人が暮らせる世界、世界で200 万人に増加が予想される交通事故死を抑え、交通事故のない世界を目指して自動運転に向けた開発ステップなどを進めるとのお話がありました。
今後の自動車産業の中で半導体・電子部品の重要な役割を認識させられるご講演でした。
■つづいて、「みやぎのご紹介」 と題し宮城県経済商工観光部次 長の宮原光穂氏にショートスピ ーチをしていただきました。
まず、宮城県における高速道路網整備、仙台塩釜港、仙台空港の状況、東日本大震災の概要 および震災復興計画を含んだ「富県共創!活力とやすらぎの那づくり」の中で産学官の連携による高度技術産業の集積促進のお話がありました。その中でみやぎ高度電子機械産業振興協 議会で半導体・エネルギー市場、 医療・健康機器市場、航空機市場を目指して種々の支援をされているというお話がありました。 NEDIA の目指す分野とも合致しているところですので、NEDIA として宮城県殿との連携をとらせていただくと同時に、会員各位も積極的にアプローチ していただければと思います。
■セミナーの最後の講演は、「電子デバイスの構造変化と東北エリアの役割」と題し、NEDIA 副会長の泉谷渉氏(㈱産業タイ ムズ社代表取締役社長)にご登壇いただきました。
スマートフォンは 2013 年通期で 10 億台に迫る勢いがあり、 タブレット端末も 2013 年のうちに PC の出荷台数を抜き 1 億5000 万台に迫る勢いがあり、これを反映して一般電子部品市場が活況を呈しているとのことで、 一般電子部品市場は 2000 年当時 5 ~6 兆円であったものが3013 年には 20 兆円を超えるだろうとのお話がありました。
半導体市場規模は 2005 年からの10 年間は 25 兆円程度の規模で推移し停滞感があるが、2016 年以降は、医療、環境エネルギー、 次世代自動車などの新アプリが成長し始めて、2030 年には半導体市場は 40 兆円に成長するとの見通しを語られています。
シェールガス革命は、燃料および化学材料のコストを圧倒的に低下させ、米国の製造業の復活を軸に世の中は変わっていく。 これは、関連技術を持った日本企業への追い風になる。アプリでも燃料電池車の普及および航空機産業の拡大により、それに強みを持つ日本企業にとっては 大きなチャンスとなる。
NEDIA はそういった成長アプリを含んだ横串的戦略集団であり、日本の産業の発展に尽して行くということです。
東北エリアには自動車の拠点が増加中であるし、山形大学での最先端重粒子線ガン治療装置 の設置も進んでおり、今後東北エリアでの医療投資が期待され、 また東北大学を 中心とした MRAM プロジェクトなどもあり、東北エリアに新たなウェーブが起こっているということで講演をしめくくられました。
セミナーの最後に 、東北NEDIA 副代表の千葉義弘氏(日総工産㈱エンジニアリング事業 部 部長 )が、東北NEDIA の活動を積極的に展開
して行くということで閉会挨拶をされました。
■セミナーの終了後、場所を同じ階のレストラン萩に移し、「キックオフ懇親会」の開催となりました。キックオフの司会は泉谷 副会長が務め、まず東北NEDIAの川添代表が主催者挨拶を行い、つづいて来賓挨拶として参議院議員の中野正志氏からご挨拶をいただきました。乾杯の発声を東北大学シニアリサーチフェローの大見 忠弘 氏 (NEDIA 副会長)にしていただき、賑やかな歓談が始まりました。
歓談の途中においては、川添 東北NEDIA代表と堀 NEDIA 事務局員のギター・ピアノの演 奏もありキックオフ懇親会は大に盛り上がりました。
最後に、佐藤光副会長(アーズ㈱)の閉めの挨拶により、東北NEDIA キックオフは成功裏にお開きとなりました。
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