電子デバイス産業の川上から川下に亘る横断的戦略組織

NEDIAマガジンNo.07概要

NEDIAマガジンNo.07 Spring 概要

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NEDIAガジン第07号表紙

2016Spring

 

 

P3 巻頭言

求められる「技術革新」だけではない

イノベーション       <下記参照>

P4 NEDIA戦略マップ2015

~”きずき”で捉える将来技術戦略~

松本 哲郎 NEDIAロードマップ委員会 事務局

P8 2016年以降、半導体産業が変わる

南川 明 IHSグローバル株式会社 調査ディレクター

P13 株式会社ネイタス設立

吉田 政孝  株式会社ネイタス 代表取締役

  

p14   Infomation

表3  【広告】リソテックジャパン(株)

  NEDIA会員リスト


□NEDIAマガジンNo07 巻頭言

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 引頭 麻実 (いんどう まみ)

 

昭和60 年3 月 一橋大学 法学部卒業

昭和60 年4 月

大和證券、女性総合職第一期生として入社、第二営業部配属

昭和60 年7 月

大和証券経済研究所(現大和総研)出向、証券アナリスト部配属

昭和61 年-62 年

アナリストとして小売業界担当

昭和62 年3 月-10 月

米国へ短期語学留学

昭和62 年11 月 アナリスト復帰

電機業界(通信、電子部品、産業用エレクトロニクスなど)を担当

平成3 年2 月 投資調査部へ異動

資本市場分析およびセミマクロ分析を行う.ストラテジストとして勤務

平成7 年6 月

企業調査第二部へ異動 電機業界担当シニアアナリスト

平成13 年10 月 企業経営戦略部へ異動

シニアコーポレートアナリスト

電機各社を中心に事業戦略提案を行う

平成14 年8 月

組織再編により大和証券

SMBC(株)産業調査部所属

シニアコーポレートアナリスト

平成17 年4 月 事業調査部長に就任

平成18 年4 月

兼大和IR社外取締役就任

(平成20年6月退任)

平成19 年10 月

大和総研 コンサルティング本部

平成21 年4 月 大和総研 執行役員

平成24 年2 月

大和総研 執行役員 コンサルティング本部副本部長

平成25 年4 月

大和総研 常務執行役員 調査本部 副本部長

平成28年4月

株式会社大和総研 専務理事に就任 現在に至る

 

 

 2000年と比較すると、電機・電子産業は大きく変わった。 2000年の電子工業の様子をみると、国内生産額では約26兆円、輸出額は約14兆円、輸入額では約7兆円と産業規模、実力ともに日本経済を牽引する産業の一つであった。 2015年はまだデータが揃っていないが、生産額では12~13兆円規模、輸出額では10兆円規模、輸入額では11兆円規模が見込まれ、2000年と比べると国内生産額では半分以下、輸出額も7割水準になるなど、大幅にその規模が縮小した。

 その一方で、輸入のみが6割増程度となるなど、日本の電子工業の様子は様変わりとなった。 さらに、内容をみると、産業用電子機器、民生用電子機器ともに2000年比3割の水準まで激減した一方、電子部品・デバイスでは同7割の水準に留まっているなど、大きな差がある。ハードウェアである電子機器は海外企業との競争激化や円高などによる海外生産シフト等々を背景に日本国内の競争力が大きく低下したが、電子部品・電子デバイスは相対的に健闘している姿が窺える。

 

  エレクトロニクス産業は、パソコン、携帯電話、大型テレビ、スマートフォンといったハードウェアの成長に支えられてきたが、アップルのアップルストアの成功以来、サービスにも大きな関心が集まってきた。近年ではIoT(Internet of  Things)やCPS(Cyber Physical System)、ドイツのインダストリー4.0や、米国のインダストリアル・インターネットなど、新たな成長フロンティアについての研究や、産業界での連携が活発化している。ネットで繋がることによって得られる膨大な情報をビッグデータとして分析することや、顧客に対する新たな価値の提供など、従来とは違った切り口での成長機会が模索されている。

 

  過去を振り返ると、日本のエレクトロニクス業界は比較的予見可能性の高い分野において、力を発揮してきた。 しかしながら、今世界を見渡すと予見可能性は極めて低くなっている。リニアな(線形な)技術開発ロードマップというものが存在しなくなり、ある意味で、自分が進む道を自分で切り拓かなければならない時代になってきている。 まことに日本のエレクトロニクス企業にとっては苦手な時代になってきた。

 改善ではなく、イノベーションが求められる時代である。

 

  イノベーションもまた意味あいが変わってきた。日本では「技術革新」と翻訳されるが、技術革新のみではイノベーションは起こらない。社会においてどのような問題が解決できるのかが重要であり、その視点が不可欠となる。

 

  技術革新のみではイノベーションは起こらない。社会においてどのような問題が解決できるのかが重要であり、その視点が不可欠となる。

 

 ある学者が動物におけるイノベーションを観察した。ここでいうイノベーションとは、行動の変化という意である。統制のとれた、強い固体が多く存在する動物の群れにおいては、残念ながらイノベーションを観察できなかった。一方で、非常に脆弱な固体が大半を占めるとともに、統制も取れていないような、いわゆる“弱い群れ”の動物は、生き延びるために、何と自らの行動を変えたのである。まさにイノベーションが観察された。動物の種類が違っても同様な結果が観察されたという。これは、厳しい環境に置かれれば置かれるほど、自らが予期していないような行動、イノベーションを起こせるということである。もちろん、意図したイノベーションではないかもしれない。

 

 2016年の経済環境は波乱の幕開けとなった。 急激な原油安、円高といった交易条件の変化に加え、中国経済の減速、中東などに端を発する地政学的リスクの顕在化、利上げ後の米国経済の先行き不透明など、経済を取り巻く環境は予断を許さない。

 

 人類の発展のためにはエレクトロニクス業界の発展が不可欠であることに疑いの余地はない。しかし、その発展の一翼を担えるかどうかは、参加者次第である。より大きな視点と、問題意識を持ち、社会の課題解決に想像力をたくましく働かせることや、他企業・団体との連携などが必要となる。まさに従来とは異なる行動様式が求められているのである。

 自らの行動様式を変えられるか。これが日本のエレクトロニクス業界に問われている。行動様式を変えるには、様々な知恵が不可欠となる。そのプラットフォームとしてNEDIAの存在そして役割に大いに期待する。

 

 ある学者が動物におけるイノベーションを観察した。ここでいうイノベーションとは、行動の変化という意である。 統制のとれた、強い固体が多く存在する動物の群れにおいては、残念ながらイノベーションを観察できなかった。 一方で、非常に脆弱な固体が大半を占めるとともに、統制も取れていないような、いわゆる“弱い群れ”の動物は、生き延びるために、何と自らの行動を変えたのである。 まさにイノベーションが観察された。 動物の種類が違っても同様な結果が観察されたという。

 これは、厳しい環境に置かれれば置かれるほど、自らが予期していないような行動、イノベーションを起こせるということである。

もちろん、意図したイノベーションではないかもしれない。

 

 2016年の経済環境は波乱の幕開けとなった。急激な原油安、円高といった交易条件の変化に加え、中国経済の減速、中東などに端を発する地政学的リスクの顕在化、利上げ後の米国経済の先行き不透明など、経済を取り巻く環境は予断を許さない。

 人類の発展のためにはエレクトロニクス業界の発展が不可欠であることに疑いの余地はない。 しかし、その発展の一翼を担えるかどうかは、参加者次第である。より大きな視点と、問題意識を持ち、社会の課題解決に想像力をたくましく働かせることや、他企業・団体との連携などが必要となる。まさに従来とは異なる行動様式が求められているのである。

 

 自らの行動様式を変えられるか。これが日本のエレクトロニクス業界に問われている。行動様式を変えるには、様々な知恵が不可欠となる。そのプラットフォームとしてNEDIAの存在そして役割に大いに期待する。


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